2008年07月02日

こういう映画もいいねぇ……(vol.53)

前回では、「雨の日の娯楽は映画や娯楽などの室内ものがいいですね」なんて話から、らせん劇場のことなどに触れました。依然として梅雨明けはまだということで、今回は映画の話をひとつ――。

6月28日(土)、グランシップ(静岡市駿河区)にて、「熊坂出(くまさか・いづる)を眺める ― 熊坂出監督と平野雅彦氏とのアフタートーク ―」という、熊坂出監督映画の上映と、そのあと、熊坂監督と平野雅彦氏(平野先生のHPへは安倍七騎ホームページ「リンク集」からアクセスできます)、静岡県文化財団の望月真也氏によるアフタートークといった贅沢な企画がありました。熊坂監督は、第58回ベルリン国際映画最優秀新人賞を受賞され、今最も注目されている新鋭監督のひとりです。

今回上映された映画は、新人賞を受賞した『パーク アンド ラブホテル』の予告編をふくめたショート作品(『コーヒーとミルク』『海月陽(くらげび)』『音のもと ― OTO NO MOTO―』『聞いてみよう』『影を切る男』)が上映されました。さすが実力者で、どの作品も視聴者へうったえるインパクトの強い作品でした。そのなかでも、特に私のお気に入りは、『影を切る男』という作品でした。

砂浜に斧が突き刺さっている――。
その斧が、ゆっくりと青空に向かって伸びたあと、それを手にした男の影に「グサッ」突き刺さる。男は、何度も何度も、自分の影を斧で切る。

影を、切る!? そんな莫迦な……。
男は、切り得ぬ自分の何を断ち切ろうとしているのか……。
だんだん激しくなる息づかい――。
それでも、男はやめない。
ふと、男は少年の笑い声に気付いて振り返る。
そこには、自分の影と無邪気に遊ぶ少年がいる。
その少年は……、そして、男はその後……。


と言った具合に展開するものでした。
作り手から、視聴者にポンと何かを投げかけられてあとはご自由に――といった、実に観念的な映画でした。

この映画の印象を強くしたものの要因のひとつに、音声の入れ方、使い方がありました。それは、砂に突き刺す斧の音、波の音、男の荒い息づかい、少年の笑い声などといった音声だけであたこと。“音ありの無声映画”といったところでした。小説でいえば、「……」だけで綴る物語――。この描写の仕方は、映画のもつ大きな武器だなと思いました。

15分ほどの短い映画で、普通の映画館では見ることはできないと思いますがオススメの一本です。みなさんも見る機会があったら是非!!


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 左から、望月真也氏、熊坂出監督、平野雅彦氏。
 映画だけに限らず、小説などを含めた全ての作品づくりの参考となるお話もありました。



 追  記

おかげさまで、安倍七騎ホームページへの“着陣”(「アクセス」と読む)が、2000騎を越えました。一騎当千のみなさんのアクセスに奮い立ち、ここまでやってこれました。今後も拙著『安倍七騎』に関わる話、普段の生活で思ったこと感じたこと、各種イベントのことなどを書き続けていきたいと思います。これからも、よろしくお願いいたします。

ありがとうございました。



  


Posted by 安倍七騎 at 22:50Comments(4)催事