2008年03月04日
県立中央図書館の講演会のこと(vol.25)
3月1日(土)、標記の講演会に行ってきました。この講演会は、午前中と午後の2回に分けて行われました。
午前中は、静岡県読書推進運動協議会特別講演会として、『落語は想像力で楽しめる ―― 落語の未来は読書にかかっている ――』と題した立川志の吉さん(2月26日に若手落語家グランドチャンピオンに。NHK『ためしてガッテン』の司会者、立川志の輔さんの一番弟子)の話でした。
タイトルから想像するような講演会というよりも、落語を2つ演じたものといった感がありましたが、落語の枕部分(本題に入る前のお話)に、「ああ、なるほどなぁ」頷くことがありました。志の吉さんは、全国の小学校に呼ばれて、独演会をするそうですが、学校で本の読み聞かせをやっている小学校とそうでない小学校は、高座に座って5分でわかるそうです。児童の反応が明らかに違うとのことでした。言い換えれば、「想像力が育っている子供かどうか」ということで、前者の方は、志の吉さんの話をじっと聞き、頭の中でおのおの情景をうかべて物語が展開できているのですが、後者の方は、落ち着きがなく、志の吉さんの独り言で終わってしまうそうです。
志の吉さんの言うには、「今の子供達には、想像力が育つ環境にない」ということを言われました。テレビやテレビゲームなど、画面が想像力を膨らます必要をなくしてしまっているというのです。志の吉さんは、小学校での独演会では、口をもぐもぐとさせてみて、「今、何をなめてる?」と、子供達に訊くそうです。「飴」「プチトマト」「たこ焼き」と、思い思いの答えが返ってくるそうですが、この想像力で楽しもうという気持ちが大事だといわれました。
読書も落語も想像力あって成り立つもので(音楽もそうでしょうが――)、想像力欠如ということは楽しみ方を失うことになると思うわけであります。
午後の講演会は、「静岡県立中央図書館貴重書講座『江戸時代の駿府を訪ねて ―― 駿府町方史料を中心に ――』」と題した、常葉学園大学織田元泰先生のお話でした。
織田先生のお話によると、慶長12年(1607)に家康公が駿府にやって来、2年後の慶長14年(1909)に駿府の町割りを行って、現在の静岡市内の町の骨格ができあがったとのことで、安倍川右岸の徳願寺あたりから描かれた『駿府鳥瞰図』(すんぷちょうかんず)には、駿府城の西側に碁盤の目のような町割りが施されています。
それから、この講演会では、大御所家康が没した元和2年(1616)の後、徳川頼宣、徳川忠長が城主として16年間在城したものの、以降「大名なき城」であったことや(城番はいた)、寛永12年(1635)の駿府城消失以降、「天守閣なき城」であったことが話され、大御所時代の隆盛を考えた場合、寂しくもあり、不思議な城であったことがわかりました。