2008年05月03日

「つたの細道公園みどり祭り」へ行ってきました(vol.39)

桜がおわり、躑躅(つつじ)やアマリリスなどが咲き誇って、春本番となりました。

この頃は、軽装で里山の散策ができる季節となり、どことなくウキウキとしてまいります。こんな麗らかな時候ですから、各地で楽しいイベントが行われています。

4月27日(日)、岡部町で「つたの細道公園みどりまつり」(主催/横添ふるさと会)が開かれました。

開催場所の「つたの細道公園」は木和田川沿いで、芝生、木橋、石垣の堰堤(兜堤)など景観が整えられ、かつ沢遊びができるなど親水性も高く、村おこし会場としてはなかなかよいところだと思いました。

この日、地元の方々による新茶手揉み体験会新茶の無料のサービスがあったほか、山賊汁などが振舞われました。山賊汁には、地元で採れた筍をはじめとした野菜、それから、猪肉が入っていました。

余話――。
山賊というと、いわゆる悪党、強盗、野伏(のぶせり)のたぐいを連想しますが、必ずしもそうでないようで、ごく普通の名主や土豪だった場合が多いようです。木下藤吉郎(後の豊臣秀吉)の家来となった蜂須賀小六なども山賊のイメージがありますが、この人物もその例にもれなかったようです。

拙著『安倍七騎』にも、安倍七騎の一にかぞえられる末高半左衛門という村岡村名主が登場します(p6~)。4月6日、「“安倍七騎とその風景”探訪ツアー」でもその邸があったスエタカ(葵区平野字トイグチ)を訪れたところですが、私はこの人物を山賊の棟梁として描きました。

スエタカからは、屹立(きつりつ)する真富士山などの山塊が見ることができます。この山塊は、北は山梨県にのび、南は賤機山まで続いています。この南北にのびる尾根筋には道がつき、今はハイキングコースとなっていますが、中世のころは、この道を伝って間者(忍者)などの「分けあり者」が往来したと考えられます。

そういった人物から、「おい、通してやるから駄賃をよこせ。なに、ほんの気持でいいのさ」などと、半左衛門の家来百姓(けらいびゃくしょう)らが金銭を徴収していたと考えられます。

閑話休題――。
つたの細道は、在原業平(ありわらのなりひら)の峠越えで有名ですが、ここを訪れて、彼が作った歌を思い出しました。

唐衣(らころも)  着()つつなれにし

      ましあれば  るばる来ぬる  旅(び)をしぞ思ふ

これはちょっとシャレた歌でして、上記の歌の各節のあたまの文字をつなげると「か・き・つ・は・た(かきつばた)」となるわけです。

その歌意は、

―― 着なれた唐衣のように馴れ親しんだ我が妻を都に置いてきたので、この美しい花(かきつばた)を見ると、妻を思い出す。はるばる来た遠い旅路を、しみじみと感じることだ ――

ということで、歌中の「なれにし」とは、 衣に対して 「着なれた」ということを、また、妻に対しては、 「馴れ親しんだ」 をかけ、「つま」は、 「衣の端(褄:つま)」と「妻」をかけたという解釈です。

さて、今年の「つたの細道公園みどりまつり」は終わりましたが、ゴールデンウイークの後半に、「つたの細道公園」へお弁当を持ってお出かけになったらいかがでしょうか。お気に入りの観光スポットになるかもしれません。


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 この日は、お弁当や柏餅なども売っていました。



 芝生の上で寛ぐ人々。画面右側に木和田川が流れています。



 新緑のなかを流れる木和田川



 お茶の葉も輝いていました。
                          

                   * * *  追   記  * * *

「つたの細道公園」へのルートですが、国道1号線宇津谷峠トンネル西側にある「道の駅」の駐車場から、「つたの細道公園」へ通じる道があります。公園手前には、駐車場もあります。ただし、この公園には飲料水などの自動販売機がありませんので、「道の駅」などで事前に仕入れた方がよいと思います。
  


Posted by 安倍七騎 at 00:21Comments(0)催事